CREATIVITY:グッチの世界観を五感で感じる「グッチ ガーデン アーキタイプ」レポート

日本でも人気のハイブランド「GUCCI」ブランド創立100周年を記念して開催された展覧会「GUCCI Garden ARCHETYPES(グッチ ガーデンアーキタイプ)」へ行ってきました。

ブランドでよくあるコレクションと異なり、今回の展覧会で面白いのは展示されるテーマが「広告キャンペーン」であること。ブランドや商品にとっての世界観の表現として“広告”が取り上げられることは多くありますが、こうしたカタチでの展覧会となることは面白く今回少しだけ時間を作ることができたので会場へ足を運んできました。

目次

GUCCI Garden ARCHETYPESとは?

こちらの展覧会は、グッチのクリエイティブディレクターであるアレッサンド・ミケーレのビジョンを探検する没入型エキシビジョンとして、今年の5月にイタリア・フィレンツェで開催され、香港・上海を周り今回日本での開催となりました。

「この6年間の冒険に人々を誘い、空想の世界や物語、驚きやまばゆいきらめきをめぐる旅をともにするのは、面白いことだと考えました。そこで、広告キャンペーンの世界に入り込んだような臨場感にあふれる遊びの空間を創ることにしました。なぜなら広告キャンペーンは、私のイメージをもっとも明快に体現しているからです」(アレッサンドロ・ミケーレ)

GUCCI Garden ARCHETYPES」は、天王洲のB&C HALLで開催され、ホール内を全部で13のルームに振り分け、シーズンコレクションの基礎となるクリエイティブが散りばめられています。ハイブランドならではのクオリティの高いコレクションテーマには驚かされました。

Room0:Control Room

コントロールルームを構成する万華鏡のようなモニター郡が、幻想的な闇の中に浮かび上がります。

星座のような多数のモニター画面は、映像と音声が絶えず変化する多翼祭壇画であり、そこには、アレッサンド・ミケーレの多元的宇宙のようなクリエイティビティへの扉を開く、コンテンポラリーな絵画コレクションが収められているかのようです。

空間と時間のコントロールパネルは、グッチの広告キャンペーンに寄って呼び起こされたイメージの世界をたどり、インスタレーションからインスタレーションへと続く道筋を示します。

GUCCI Garden ARCHETYPES パンフレットより

Room1:GucciCollectors 2018年秋冬

コレクターというのは、しばしばエキセントリックで偏執狂的で、個性が強く、圧倒的な情熱にとりつけれ、驚くほど独特な性格を持った人々です。絵画、アンティーク、希少品や風変わりな品物を収集し、ディスプレイケースや箱、そして秘密の部屋に保管します。ここでは、2018年秋冬コレクションの広告キャンペーンで主役になった、グッチ コレクターの浮遊感漂う世界へと足を踏み入れていきます。

収集品がきっちりと並べられたディスプレイケースからは、コレクターが密かに大事にしている世界を垣間見ることが出来ます。

GUCCI Garden ARCHETYPES パンフレットより

Room2:Of Course A Horse 2020年春夏

謎めいた魅力を放つ道の部屋へと迎え入れ誘うものに、私たちは心から驚かされることがあります。その部屋で待っているのは、異種交配的な性質と、抗い難い魅力を持つ、不可思議な存在です。この機械人形は手袋をきっちりとはめた多くの手と豊かな髪を持つロボットです。髪?本当にそうでしょうか?よく見てみましょう。たてがみに沿って、いたずらっぽく柔らかなウェーブが揺れ、広がります。そう、これは馬のしっぽ。間違いなく、これは馬です!

GUCCI Garden ARCHETYPES パンフレットより

Room3:Gucci Beauty Network

「メイクアップあhポエティックであると同時にはかないものです。それは魔法の言語であり、ジュエリーやヘアスタイルなどとともに自己表現の要素として使われますが、メイクアップは特に身近で、歴史が古く魅力的なものです」

アレッサンド・ミケーレは、自我を返信させる道具として、メイクアップのイメージについてこのように語りました。メイクアップは自由で成約のない自己表現であり、欠点さえも美しさを伝える貴重なディテールとなります。仮面はもはや必要なく、私たちがただ在りたいように存在することの出来る、純粋な自由を実現することが出来ます。それはささやき声で語られる、伝統からの開放にほかなりません。

GUCCI Garden ARCHETYPES パンフレットより

Room4:Urban Romanticism 20015秋冬

細部に至るまで完璧に再現された地下鉄の車両は、ある場所から別の場所へと移動する狭間の世界であり、欲望が開放され、白昼夢が生み出される場所です。それは洗練された都会の洞窟であり、時間の間で魔法にかけられたままでいられる、守られた場所。アレッサンド・ミケーレは、グッチで初めて手がけた2015年秋冬コレクションの広告キャンペーンの舞台に地下鉄を選び、「まだ来ない」と「もう行ってしまった」の間で常に動き続けるこの場所で、旅についての物語を紡ぎました。

GUCCI Garden ARCHETYPES パンフレットより

Room5:Tokyo Lights 2016 秋冬

この華やかなインスタレーションは、無数の夜が昼よりもなお明るく輝く大都市、東京を舞台とした、グッチの2016年秋冬コレクション広告キャンペーンの世界観を表現したもの。ありとあらゆる色彩の人工的な光があふれています。

立体的なセットからまばゆい光が放たれ、見る人の顔を照らし出します。室内に停車している大型トラックは脈打つように何千もの光を放ち、夜の夢をそぞろ歩く若者、フラヌールたちを乗せて東京を走ります。

GUCCI Garden ARCHETYPES パンフレットより

Room6:Dans Les Rues 2018プレフォール

パリの晩春の7週間は、現代という時代の流れを揺るがし続けることになりました。1968年、学生たちと労働者が連帯し、社会不安と文化の刷新に向けて声を上げ、パリは反乱の鼓動が脈打つ心臓部へと姿を変えました。デモの参加者たちは路上に出て、激しい反乱を展開し、あらゆる種類の権威に対して多面的な抵抗を挑み、この時期はふらんすの「五月革命」として永遠に記憶されることになりました。

五月革命から50年目を迎えることをきっかけとして、グッチ2018年プレフォールコレクションの情熱的な広告キャンペーンは、フランスの若き活動家たちをたたえました。文化を共有しようという理想を求めて、学校、アカデミー、そして大学を選挙した、諦めることを知らない若者たちのイメージであふれました。

GUCCI Garden ARCHETYPES パンフレットより

Room7:Gucci And Beyond 2017年秋冬

グッチ2017年秋冬コレクションの広告キャンペーンは、アレッサンド・ミケーレの詩的な世界を特徴づける、驚異への執着、難解なものへの関心、この世のものとは思えないものへの系統を具現化したもので、テレポートするかのように私たちを宇宙の果てへと冒険に連れ出します。

この広告キャンペーンの映像では、1960年代から1970年代にかけてのSF映画やSFテレビ番組を巧みに取り入れながら、20以上のシーンで構成された冒険物語として、遠い宇宙の叙事詩を表現しました。

GUCCI Garden ARCHETYPES パンフレットより

Room8:In Bloom

フレグランスの保つ力は、その喚起力によって測ることが出来ます。つまり、目には見えなくとも、前触れとなる成分の働きを受け手、香りが示唆する場所へと心が動かされる。そんな独創的な効果のことです。

2017年に、アレッサンド・ミケーレがグッチで初めて手がけたフェミニンなフレグランス「グッチ ブルーム」は、アレッサンド・ミケーレがこのフレグランスを作る際に着目した「豊かな花束」を体現する香りの空間を、身につける人の周囲に創り出します。それはオーセンティックかつ、自由でインクルーシブなフェミニニティの概念を紐解き、色彩豊かなガーデンのイメージで女性を彩る香りの魔法です。

GUCCI Garden ARCHETYPES パンフレットより

Room9:Gucci Hallucination 2018年春夏

スペイン人アーティストのイグナし・モンレアルは、866時間もの間、自身の肉体を離れて永遠に輝き続けるユートピアに身を置きました。 ギリシャ語のoutopos(ウトポス)に起源をもつユートピアとは、ウ・トポス、すなわち、ノン・プレイス、「どこにもない場所」であり、ほとんど不可能を意味する言葉でもあります。彼はぐうっち2018年春夏コレクションの世界を絵画で表現するために、休み無しで1日14時間、数ヶ月をその制作に捧げたのです。イグなしの言葉を借りれば、彼はグッチ ハルシネーション、すなわち「グッチの厳格」の餌食になってしまうところでした。

GUCCI Garden ARCHETYPES パンフレットより

Room10:Rebellious Romantics 2016年春夏

ダンスフロアはどこかに確かに存在します。ベルリンのクラブの、にぎやかな化粧室の壁を通して、音楽が脈打ち、鳴り響いています。そのビートは、うつろう時の中で失われた絵画を蘇らせます。私たちは、見られたり気づかれたりすること無く、人生の断片を移動する達人です。2016年春夏コレクションの広告キャンペーンで、ベルリンの無骨な建築物をさっそうと走り抜けた若者たちの親しげな様子を、少しのぞいてみることにしましょう。

GUCCI Garden ARCHETYPES パンフレットより

Room11:Come As You Are_RSVP 2020年クルーズ

「グッチは皆が参加できるパーティのようなもの」

ハーモニー・コリンが監督を務め、尽きることのない美しさにみちた2020年クルーズコレクションの広告キャンペーンを表現するのに、多くの言葉は必要ありません。その着想の源である1980年代は、終わりのないパーティの時代、快楽主義ときらびやかさの黄金時代でした。それと同時に、芸術においては実験の時代であり、若者のカウンターカルチャーが復興した時代でもあります。

GUCCI Garden ARCHETYPES パンフレットより

Room12:Gucci Prêt-à-porter 2019年秋冬

2019年秋冬コレクションの広告キャンペーンは、ファッションとそれを作り出すクラフツマンシップへのオマージュ。ファッションショーという儀式をたたえます。そこでは、ディテールへの情熱をもってあらゆるクリエイティブな表現が追求され、パワフルな現代の神話が作り上げられます。

コレクションに合わせて制作された広告キャンペーン映像では、ファッションショーのバックステージに立ち込める、活気に満ちたエネルギーを垣間見ることが出来ます。クリエイティブ・ディレクター自らスタイリングし、テーラーが熟練の技ですばやく最後の仕上げを行います。メイクやヘアスタイルは、エキスパートたちの熱い視線を集めるようデザインされます。広告キャンペーン映像は観客たちの様子をユーモラスに映し出し、気だるさと落ち着きを併せ持つ1960年代のパリの雰囲気をまとった、往年のジェットセッターたちの悪徳や美徳を、音楽にのせて表現します、センシュアルで心をかき乱すような曲は、マイルス・デイヴィスが映画『死刑台のエレベーター』のために作曲したものです。

GUCCI Garden ARCHETYPES パンフレットより
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