広告イイね!:広告各賞受賞!THE FIRST TAKE

白いスタジオを背景に、アーティストが1本のマイクと向き合い一発撮り

冒頭に溢れる緊張感をそのままに、ライブ感までをぎゅっと詰め込んだ“THE FIRST TAKE
YouTube再生回数が計1億回を超える人気コンテンツが、今、世界各国の広告賞で上位賞を受賞し話題になっています。

今回の広告イイね!では、そんなマイクとアーティストというシンプルなコンテンツ“THE FIRST TAKE”が、なぜ今世界中で評価されるのか?少し考えてみました。

目次

“THE FIRST TAKE”とは?

『THE FIRST TAKE』は、2019年11月より、YouTubeチャンネルを中心に人気アーティストとのコラボレーション企画を展開しているプロジェクトです。アーティストたちが一発撮りのパフォーマンスをする様子を動画で配信し、彼らの一度きりのテイクに込める想いやその緊張感に触れることができるという、これまでになかった新しい音楽コンテンツで、YouTubeの動画再生回数が計1億回を突破するなど、注目を集めています。

TBWA HAKUHODO / https://www.tbwahakuhodo.co.jp/news/200425-tft/

裏側配信?”THE FIRST TAKE”の新しさ

2019年に初めてYouTubeで“THE FIRST TAKE”を観たときには、レーベルコンテンツなのか?MVのシリーズなのか?と不思議なものに触れた印象が強かったです。映し出される映像は、まさに収録風景。それは本来「裏側」に存在していた世界。所謂ボーナストラックに収録されるドキュメンタリー切り出しの様なものなのかな?と思ったほどでした。

常に追い掛けていたわけではないですが、“THE FIRST TAKE”にはその後も多彩なアーティストが参加。シリーズコンテンツであることに気付くわけですが、そんな類を観ないシンプルな音楽映像が人気の理由を改めて考えてみました。余談ですが、岡崎体育さんのものとか良かったですね。面白かったです。

“THE FIRST TAKE”人気の秘密

Instagram等SNSで推しのアーティストアカウントを開けば、現場に近い日常の切り取りが並ぶ今、アーティストとフォロワーの距離が非常に近くなった様に思います。バックステージがどんどんと見える位置に来ている流れの中で、こういった収録風景という裏側は時勢を読んだコンテンツとして受け入れられたんだろうなと思います。

なにより“THE FIRST TAKE”で面白いなぁと思った部分は、アーティストの素が垣間見えること。演者もやっぱり一人の人間。緊張したりドキドキしたりと、TVでは映されない姿もあるものです。そんな緊張感が伝わる収録前の一呼吸は、他の動画コンテンツと違った魅力で惹きつけられるものです。特徴の一つである、”一発録り”というテーマは、出演アーティストの緊張感にも一役買っているんだろうと思います。

更に、コロナウイルス感染症のパンデミックによって、音楽/ライブ業界は大打撃を受けてしまった事も新しい音楽コンテンツが受け入れられた要因のひとつでもあります。「災い転じて福となす」ではないですが、2年近くライブ開催も延期&自粛が続いてしまい、新しいアーティスト表現はとても新鮮なものとしてファン層に刺さるコンテンツとなったのではないでしょうか。

変わる広告の形

改めて、CLIO広告賞で公開されていた、”THE FIRST TAKE”の応募PVを観てみました。

CLIO MUSIC / https://clios.com/music/winner/social-media/the-first-take/the-first-take-90220

リップシンク、ヴォーカルエフェクト、ビジュアルエフェクト、、音楽業界は「フィルター」に包まれている。
もし、「フィルターの無い音楽」を届けられたら。”THE FIRST TAKE”

ディレクションも、リテイクも、フェイクもない。

LESS FILTER. MORE MUSIC. THE F1RST TAKE

TBWA\HAKUHODO Inc.

この”フィルター”という表現は音楽だけでなく、形を替えて世界中にもあるものだと思います。先入観や、セクシャリズムのような時事的なトピックスも、ある意味”フィルター”とも言えるものなのではないか?と感じます。

広告業界に置いても、表記のないステルスマーケティングの問題や、スキップの出来るものの登場などで、”広告”は商品の”フィルター”として忌避の対象になってしまっていて、少し寂しい時代になりました。(あからさまなものは仕方が無いにしてもね)

一方で、昨日ちょうどラジオで小堺一機さんが「90年代まで情報は追いかけるものだったが、今は情報を追い越してしまった」と語っていましたが、まさに情報の送り手と受け手の垣根が消え始めている時代なんだなと思います。

確かに、情報量の増えた世界に乗っかり酷い広告も世の中に沢山出てきてしまっているのも事実ですが、コンテンツと広義な意味での広告の垣根がどんどんと取り払われ、変わっていく時代の”成長痛”であると願いたいものです。

また広告が面白い世界になっていって欲しい!ではでは。


  • ”THE FIRST TAKE”受賞広告賞
    • Spikes Asia 2021
    • 第100回 ニューヨークADC賞
    • 2020 Clio Music
    • 2021 One Show
    • AD STARS:第14回釜山国際広告賞
    • TCC賞2021
    • 第8回 JAAA若手大賞
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